Dr.タナカの豆知識

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続 「白い歯」とは…

先月で「歯の色について」の話題は一区切りにしようかと思っていたのですが、今月も関連した内容を書きます。
「白い歯とは...」を語る際に、私の中では外すことのできない人物がいます。
私と長年コラボをしてきた歯科技工士さんについてのお話です。(歯科技工士さんとは、歯医者さんで取った歯型から、「差し歯」や「被せ」、「入れ歯」を作ったりする人のことです。)
彼は、特にセラミックの色調については、譲れない思いがあり、製造メーカーについても「私はイボクラール社のセラミックに惚れ込んでしまいました」と公言する程の方でした。
技工所も「鯉城歯研セラミック」という屋号にするほどセラミックの歯を作る事に情熱的な方でした。
(鯉城とは広島城の別称。 ちなみに広島カープもここから名付けれています。)
知り合ったのは私が28歳で彼が45歳の頃。私が分院長時代に、飛び込みの営業で診療所に来られたのがきっかけでした。
持参してこられたサンプルのセラミックが本物の歯牙と見間違えるほどナチュラルで、しかも表面が非常に滑沢で、手で持とうとするとツルツル滑って驚いたのを覚えています。
当時は飲酒運転について、いまほど厳しくなくて依頼する技工物があれば、仕事が終わった後、彼の技工所にお邪魔して、石膏の歯型を肴に、缶ビールを飲んで遅くまで語り合ったものでした。診療所と自宅の中間に彼の技工所があったものですから、依頼する物がなくても、よく遊びに行ってました。
石膏の粉が飛び交う技工所で野郎二人が、手のひら程の石ころを片手にビールを飲んでいる.....。今思い返せば風変わりな光景だったと思います。
私も歯科医師になりたての頃で、いろんな事を知りたかった。彼の情熱的な話しがとても面白かった。
製作する歯のカタチ、すり減ったカタチや膨らみ方...。1本の差し歯について熱く語れる彼がとても格好良かった。
当時の私にとって、彼はいい師匠であり、憧れでした。

田中歯科クリニック  田中 隆博

(大阪市福島区吉野4丁目25-23)