Dr.タナカの豆知識

最新記事

バックナンバー

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

Dr.タナカの豆知識


入れ歯の取り扱い

今月は入れ歯の取り扱い(特に往診現場で)にまつわる話。 毎度のことですが、治療方針等には、様々な考え方があります。 このコラムは私、田中隆博の独断と偏見に基づいた「放言」でございます。
そのあたり、あたたかく見守っていただければ幸いです。 昔、入れ歯にネームを入れていました。 透明なフィルムに患者さんの名前を印字して、入れ歯本体に埋め込むのです。
「そうすれば、入れ歯の取り違えが減る」 そう考えたのです。現実は結構難しいです。
相当、かなり、大きな字で書いて埋め込まないと、 使っているオジさん、オバさんが、読めない。
入れ歯が汚れていたら、まず読めない。 20年近く前になりますが、私が往診していた特養施設こんなことがありました。
あるオバさんの入れ歯を作成しました。フィット感もバッチリで、若い頃の私にとっても会心の作品でした。 患者さんであるオバちゃんも
「調子がええ、これで何でも食べられそうだ」
と大変喜んでくれました。 ところが、数日経って、施設の職員さんから電話が入り
「数日前から、〇木さん(オバちゃんのこと)の入れ歯が落ちてくる。何度試してもガタガタで吸い付かない。」
急いで施設に行って事情を聞くと
「バッチリだったのは診療当日だけで、その翌日からブカブカになって落ちてくるので、ご飯が食べられない。」とのこと。
おそるおそる、オバさんの口の中を覗き込むと.... 入れ歯がガタガタになっていました。信じられない思いで、入れ歯を手に取って凝視.....
これは、〇木さんの入れ歯ではない!! これは〇本さん(男性)の入れ歯だ!!
部屋を出て、急いで〇本さんのところへ。 〇本さん、大いびきをかいてお昼寝中。 入れ歯が小さすぎ。 この入れ歯で数日間飯を喰っていたのか???
「〇本さん、こんにちは、歯医者の田中です。入れ歯の調子はどうですか?」
〇本さん
「調子がええ、何でも食べられる~」
このオジさん、器用な人だなぁ(苦笑)

田中歯科クリニック  田中 隆博

(大阪市福島区吉野4丁目25-23)