Dr.タナカの豆知識

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Dr.タナカの豆知識


入れ歯を6ヶ月以内にもう一個作ってみた。

入れ歯を新しく作って6ヵ月以内に、再び同じ入れ歯を新しく作ることは、保険診療では認められていません。
今回は、このお話の続きです。
わが国は、全国平等に広く安価に医療を提供している国だといわれています。
その素晴らしい仕組みを支えるのが、国民皆保険といわれている制度です。
その制度においては、厚生労働省が決めた診療報酬点数という「公定価格」というものがあります。保険診療をおこなうにあたっては、定められた決まりに従わないといけません。
その決まりの中に「新製から6ヵ月以上経過していないと、再製作してはダメ」とあるのです。 さてさて、私の患者さんで、入れ歯を新製して4ヶ月ちょっとしか経過していない段階で、 ミキサーにかけてしまったお婆ちゃんがいました。
「4ヶ月ちょっと…」
困りました。新製出来ない。かといって修理しようにも、入れ歯が上下ともパズルみたいにバラバラ。。
結局、新しく作り直しました。
(そうする他に、手だてはなかった)









この方の入れ歯作りは、そんなに難しいものではなかったのですが、このまま保険診療の審査機関に請求書を出しても、絶対に認めてもらえない。(お金が貰えない!!)
請求書の下段に「摘要欄」といって、審査委員の先生に対して「申し開き」をする欄があります。
そこに一生懸命、思いの丈を書いて提出してみました。
「6ヵ月未満とはいえ、ミキサーにかけたお婆ちゃんに悪気があった訳ではないんだ。」
「このお婆ちゃんに入れ歯を作ってあげることは公共の福祉に叶うんだ。」
…請求書は、翌月に返戻されてきました。理由。「前回製作から6ヵ月未満です。」
撃沈。。。 これだけ頑張ったのに0円。悔しいです。 結局赤字です。
せめてもの救いは、お婆ちゃんが「美味しく食べられるよ」と言ってくれたことでした。。

田中歯科クリニック  田中 隆博

(大阪市福島区吉野4丁目25-23)