Dr.タナカの豆知識
通勤災害に該当する? その1
今月は、「通勤災害に該当するか否か」をテーマにコラムを書いてみようと思います。
「通勤経路」として認められるものに
「就業に関し、住居と就業の場所との間の往復」があります。
(細かく言えば、「通勤経路」には他にもあるのですが、今回はこれに絞って書いてみます。)
具体的な事例を2つ挙げてみます。
①被災労働者は、出社するためアパートの2階の自室(住居)を出て階段を下りるとき、
下から2段目のところで、靴のかかとが階段に引っかかったため前のめりに転落し、負傷した
②被災労働者は、当日、通常どおり出勤し勤務についたが、身体の具合が悪くなり、午後3時頃に早退し、
自宅の玄関先の石段を上がるとき、石段が凍っていたため、足を滑らせ転倒して負傷した
事故現場(負傷場所)が
①は自宅アパートの外
②は玄関の外だけど自宅敷地内
ほんのわずかな差ですが①は通勤災害として扱われ、②は通勤災害とは認められませんでした。
厚生労働省労働基準局の判断はこうです。
①アパートは、玄関扉を出たところから通勤が始まっている。
→よって①は通勤災害である。
②一戸建ての場合は、自宅敷地の境界線を出たところから通勤が始まる。→②は単なる住居内の事故
自宅から通勤されておられる方は、くれぐれも敷地内での怪我にはご注意を。
(文責 田中隆博 監修:ゆいえ労務サポートオフィス 社会保険労務士 竹内里恵子)