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Dr.タナカの豆知識


彼女の診療代金を元カレが支払った!!

今月は趣向を変えて診療以外のことを書いてみたいと思います。
保険診療の一部負担金や自費の治療費は、受診した患者さん本人にお支払いいただくのが原則です。
では、診療代金を患者本人ではない他人(第三者)が支払った場合、それは有効になるのでしょうか?

例えば、Aさんという女性がいました。自費診療10万円の未払いがあったとします。 それに目を付けた元カレさん、復縁を念頭にAさんに内緒で10万円をクリニックに支払った場合を想定してみましょう。
この場合、Aさんの債務は消滅するのでしょうか?
Aさんは、元カレには絶対に関与して欲しくないと言っています。
答えは、この支払いは無効です。Aさんの債務は消滅しません。法律上はこうなります。

「債務の弁済は第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りではない。
(民法474条1項)」

つまり、第三者の支払いは原則は有効なのですが、Aさんのように「元カレには払ってほしくない」という意思表示がある場合は 「当事者が反対の意思を表示したとき」に該当しますので、元カレの弁済は無効となります。

ちなみに条文中の
「その債務の性質がこれを許さないとき」
とはどういうことかと言うと、Aさんは実は歌手で、『10万円の料金は「クリニック職員へのカラオケ指導で支払う」』という約束になっている時に別の人が身代わり現れて歌唱指導に来ても「ダメですよ」ということです。
なお元カレさんの支払いがAさんの拒絶であっても有効となる場合も民法474条には規定されています。
これは次回のコラムで。。

田中歯科クリニック  田中 隆博

(大阪市福島区吉野4丁目25-23)