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「保険給付の制限」

今月も「保険給付の制限」にスポットをあてたマニアックなコラムを書いてみたいと思います。
病気や怪我をしたとき、保険証を使って診察が受けられるのですが,あるケースでは受けられないことがあります。
(業務災害や通勤災害との絡みについては,省略します。)
前回は116条についてみてきました。 今回は117条を見て行きましょう。条文はこう書いてます。
被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは,当該給付事由に係る保険給付は、 その全部又は一部を行わないことができる。(法第117条)
闘争….によって給付事由を生じさせ…..保険給付は,…行なわない…
これは,「他人を殴打し,殴打された者に殴り返されて負傷しても保険は効かないよ」
という意味なのですが, それでは,「人を殴って,その数日後に,相手から不意に返り討ちに遭った」というのはどうなんでしょうか?
以下のような通達が,厚生労働省(当時は内務省衛生局)から出されています。

…闘争又ハ泥酔ニ因リ事故ヲ生セシメタル云々トアル事故ハ闘争又ハ泥酔ニ因リ其ノ際生セシメタル事故ヲ謂ウ義二有 之故ニ例示ノ場合ハ右ニ該当セサルモノト認メラレ候….

つまりは「返り討ちによる怪我」は,本人がやらかした怪我には該当しないので,「保険は効くよ」ということなのです。 国の機関である内務省が,こんな通達を大真面目に出しているのは,なかなか趣きがあるじゃないですか。
著しい不行跡とは、どういったケースなのかについても面白そうなのがありました。 妻子持ちの旦那が,風俗に通って性病をもらってしまった。しかも懲りずにまた通って,また性病になった。

この旦那の行為は「著しい不行跡」に該当するのか?! そしてその性病の治療には「保険が効く」のか?! ………..これについても大真面目な通達があります。 なかなかのマニアックで面白いです。この続きは来月のコラムで。

田中歯科クリニック  田中 隆博

(大阪市福島区吉野4丁目25-23)