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入れ歯の取り扱い

今月も入れ歯の取り扱い(得に往診現場で)にまつわる話。。
毎度のお断りです。このコラムは私、田中隆博の独断と偏見に基づいた「放言」でございます。
実際の治療にあたっては、様々な考え方や進め方があります。私の見解が全てではありません。
その辺り、あたたかく見守っていただければ幸いです。
「入れ歯は夜は外しましょう。寝る時は外しましょう。」  これ意外と正しく実行していない方が多いんですよね。 訪問診療する側からすれば、在宅であっても施設でもどちらも同じ「仕事場」なのですが、よくよく考えると
患者さんにとっては、在宅は、文字通り「患者さんのお宅」で、施設はお家ではなく「宿泊先、しかも共同生活の場所」なんですね。
入れ歯を24時間着けっぱなしのオジサン・オバサンが少なからず居られます。 その方たちの言い分は
「他人さんの前で、入れ歯のない口元を晒したくない」
「入れ歯を外したら、他人の入れ歯とごちゃ混ぜになるか心配」
「入れ歯の取り違えが減る」
・・・私どもは、これまで「入れ歯を入れっぱなしにしてると入れ歯の裏面におびただしい量の細菌が繁殖します。 バイ菌と一緒にご飯を食べるのは、良くないことですよ」と『歯医者の目線』から患者さんに説明してまいりました。
でも外さない方にとってはバイ菌のリスク軽減とは別の視点の心配事があったことに気付かされました。
こんな意見の方もいらっしゃいました。
「入れ歯置き場が、自分のベッドから遠いので、外したくない」
「阪神大震災で被災したときに慌てて飛び出したので、その後、入れ歯が無くなって難儀した。だから入れ歯は寝てるときでも絶対に外したくないんだ」
永い間外さずに生活してきて何の不都合もなく生活している方に、一応は「医療従事者からの目線」では外すように促しますが、 現実問題として「外したら眠れない」というオジサン・オバサンに対して
「眠れなくなってもいいから外せ」となんか言えないのも 事実です。
せめて起きていらっしゃるときに
「きれいになるようにお手伝いさせていただく」のも
私たちの仕事なのかもしれません。
ご自身で入れ歯の改造をされる人よりはマシ…かな… 続きは来月のコラムで。

田中歯科クリニック  田中 隆博

(大阪市福島区吉野4丁目25-23)